ラッシング・ビート乱 複製都市(1992年 / ジャレコ)

概要

タイトル ラッシング・ビート乱 複製都市
開発会社 ジャレコ
販売会社 ジャレコ
初出 スーパーファミコン、1992年
システム / (5ボタン)
キャラクター数 5キャラクター▸2人
ステージ数 4ステージ
戦う動機 行方不明になった仲間の救出
「ラッシング・ビート乱 複製都市」は、ジャレコから1992年にスーパーファミコン向けにリリースされたベルトスクロールアクションゲームです。
同年3月にリリースされた「ラッシング・ビート」の続編で、本作は「ラッシング・ビート」のリリースからわずか9か月後の、1992年12月にリリースされました。
当時としては珍しく、続編でありながらナンバリングを廃して「乱」と名付けられているのが特徴的でした。サブタイトルの「複製都市」は、クローンが登場する本作のテーマを表しています。

システム

基本操作

名称 コマンド 備考
移動 でダッシュ
攻撃 / ジャンプ / 必殺技 / /
パフォーマンス
アイテムを拾う アイテムの上で
▸アイテムを使う ▸アイテム所持中
▸アイテムを投げる ▸アイテム所持中or
追撃技 ダウンした敵の上で
起き上がり 吹き飛ばされているときにorボタン連打
つかみ返し / 返し技 正面 / 背面つかまれ中、タイミング良く
必殺技
体力を消費しますが、必殺技の後に一定時間ダメージを受けなければ、消費した体力が回復します。ただ2回以上連続して使うと、1回分しか回復しないのでご注意。大ダメージを与えたり、コンボに組み込んだりすることができ、戦術的に面白い要素になっています。
ちなみに、必殺技を使ってから体力が回復するまでの間は、キャラクターが肩で息をします。芸が細かい!
パフォーマンス
キャラクターがパフォーマンスをします。今作から加わったシステムで、システム的には何の意味もありません。しかし、本作は他の要素がことごとく高いレベルでまとまっているだけに、この意味のないパフォーマンスでさえ、カリスマに感じてしまうという…。
ちなみに説明書には、「? / オー!ボタン」と表記されています。
追撃技
転んだ敵の上で行う追撃。本作では、転んだ敵を通常攻撃()で攻撃できるのですが、一定条件を満たすとこの追撃技が発動します。リリース直後は、この条件が不明確だったために、出るとプレイヤーを沸かせる魅せ技の要素でもありました。
▸追撃技を出すコツはこちら
起き上がり
転ばされた後に、素早く無敵で起き上がります。本作で必須のテクニックで、吹き飛ばされているときに、又はボタンをガチャっとやるとうまくいきます。敵の追撃も厳しい本作では、一気に攻撃ターンに切り返せるテクニックです。起き上がり後は積極的につかみ攻撃を!

ストーリー

ジョウカル事件から3年後のネオ・シスコ。リック・ノートンは刑事を依願退職し、父キンタークの意志を受け継いで、格闘技ジムを開設する。かつての同僚で育ての親でもあるダグラス・ビルドも、警察に内緒でジムで指導員を担当していた。
やがてジムには、女子プロレスラー志願のウェンディ・ミラン、柔道と骨法の達人ロード J、戸隠流忍法の使い手・華斬が参加するようになり、子供たちに格闘技を教えながら、それぞれが精進に明け暮れていた。
しかし、この5人のうち3人が行方不明になる。「ネオ・シスコ湾内の人工島でクローン人間製造プロジェクトが進められており、何人もの人間がそこに拉致されている」-ジムを訪れたマリア・ノートンが、スクープ内容を伝える。
ジムに残された2人は、3人の手がかりを求めて、立入禁止区域となっている人工島へ向かう。

ジョウカル事件
前作「ラッシング・ビート」のストーリー。ネオ・シスコにはびこっていた覚せい剤・ジーカスを絶つため、ネオ・シスコ州警察の刑事リック・ノートンと、巡査部長ダグラス・ビルドが、覚せい剤密売組織ジョウカルを壊滅させた事件。ジョウカルに誘拐されたリックの妹、マリア・ノートンを救出するため、リックとダグラスが辞職を覚悟でジョウカルと対峙した。
マリア・ノートン
リックの妹で、今作では著名なルポライターに成長。人工島でのクローン人間製造スクープを入手するが、巨大な圧力により公表を拒まれている。
キンターク
ジョウカルのボス。前作「ラッシング・ビート」の最終ステージのボスでもある。実はリックとマリアの父親だった。

キャラクター

ステージ

TIPS

裏技・隠し要素

技名 備考
同キャラプレイ ①2プレイでスタート。
②キャラクター選択画面で、使いたいキャラクターの左のキャラクターに1Pカーソルを、右のキャラクターに2Pカーソルを置く。
③1Pのと2Pのを同時に押す。カーソルが重なったら成功。
ただし、ステージ1でこの裏技を使うと、復活時にバグることがあります。ステージ2以降で使うのがオススメです。
VSモードで必殺技を キャラクター選択画面で、を押しながらキャラクターを選択する。必殺技が使えるようになる。
永遠にジャンプ攻撃を
当て続ける
敵を倒したときに軽く浮いていれば、ジャンプ攻撃を当てることができる。更に浮いた敵にジャンプ攻撃を当てることも可能。
ステージが終了しない ボスを倒した後すぐに、ダッシュするかを連打する。
止めればステージが終了する。

マメ知識・小テクニック

技名 備考
つかみ返し・返し技のコツ ザコ敵につかまれた場合ならタイミングは決まっていて、つかまれてから、およそ0.7秒くらいでを押すと出やすくなります。
ボスの場合は完全に読み勝負です。連打では出ないので、ご注意を。
追撃技のコツ 追撃技の条件は2つ。
①転んだ敵の影と、自キャラの影が重なっていること
②敵の影よりも自キャラの影の方が奥にあること

です。
狙うなら、転ばせてからをチョン押しして調整してみてください。かなり簡単に出るようになります。
必殺技の体力消費 必殺技()は、使った瞬間、体力を消費します。しかし、敵からダメージを受けずに一定時間経過すると、消費した分が回復します。ぜひ戦略的に使ってみてください。
無敵時間を作り出す 本作ではあらゆる場面で無敵時間を作り出すことができます。
・つかみ中
・つかみ攻撃、投げのモーション中
・必殺技のモーション中(ノートンを除く)
・アイテムを拾うモーション中
・アイテムを使うモーション中
・クイック起き上がり(転ぶ前にorボタン連打)直後
無敵時間をうまくつなぐことで、攻略が容易になります。
クローン華斬ステージの回転 クローン華斬がボスのステージの回転にはルールがあり、クローン華斬がダメージを1/4受ける毎に、1/4回転します。あらかじめ、次に床になる側を確認するといいかもしれません。
石はで投げると貫通しますが、orで投げると、ヒット後落ちます。orで3回投げて、最後にで背後の敵まで貫通させるとベスト!
ショットガン ステージ2、4ではアイテムでショットガンが登場。弾数は無制限です。

海外版

タイトル BRAWL BROTHERS
開発会社 JALECO
販売会社 JALECO
リリース SNES、1992年
システム / (5ボタン)
キャラクター数 5キャラクター▸2人
ステージ数 4ステージ
「ブロール・ブラザーズ」、直訳すると「ケンカ兄弟」でしょうか。日本版と同一年月日に発売されました。ステージ1とステージ3が迷宮に変更されていますが(グラフィックに変更はないが、正しいルートを取らないと脱出できない)、ステージ3の迷宮はやや複雑にすぎる…?ビルドに至っては人種がアフリカ系アメリカ人に変更されています。海外でも高い評価を得ています。裏技で、日本版の「ラッシング・ビート乱 複製都市」がまるまる遊べるという、非常にオトクな一作です。

作品解説

オススメ度:
 
1992年の12月にリリースされた作品で、ラッシング・ビートシリーズの第2作目です。同年3月にリリースされた「ラッシング・ビート」から、わずか9ヶ月でのリリースでした。本作の魅力は、戦略性と、演出にあります。

高い戦略性
本作では、ステージクリア毎に救出したキャラクターが使用可能になり、ステージ開始時にキャラクターを選択できるようになっています。本作ではキャラクターとステージとの間にはある程度の相性があり(例えば、リックは落とし穴のあるステージに向いている)、ボスとして出ると手強いキャラクターは最初から味方にしておく(ロード Jが3面ボスとして登場すると鬼のように強い、華斬のボスステージは初心者殺し)など、キャラクターの選択に戦術が生まれます。
またアクション面でも、本作では「アイテムを拾う」と「拾ったアイテムを使う」を別アクションにしています。多くのベルトゲーでは、落ちているアイテムが消えないよう、画面のスクロールを防ぎながら戦う必要がありました。しかし本作では、アイテムを持ったまま動き回ることができ、任意の地点でアイテムを使うことができます。アイテムを投げることもできるようになっており、回復アイテムで敵を攻撃することすら可能です。
特徴的なのが、「転んだ敵にも通常攻撃がヒットする」という設計。敵が起き上がるまで待つ必要はありません。一方的に、ばっさばっさと敵をなぎ倒していく様子を味わうことができます。この設計が成り立つのは、敵もある程度強いから。それまでタブーのように思われていたこのシステムが、本作の最大の醍醐味となっています。
またプレイヤーには「つかみ返し&返し技」「起き上がり」「無敵時間」といった対抗手段があり、これらをうまく使うことで、強力な敵を容易に倒すことが可能です。
必殺技も、敵から攻撃を受けなければ、時間経過で体力が回復するように設計されています。戦術的に必殺技を組み込むことができるようになっています。

ケレン味あふれる演出
敵に打撃をヒットさせると、細かく敵が震える、ボス戦のフィニッシュブロー時にはスローモーションがかかり、画面全体が揺れるなど、現在の格闘ゲームでは常識になっている演出が、1992年という早い段階で、本作には組み込まれていました。さらに、アメコミ調の吹き出しが出る、心地の良い攻撃音が鳴るなど、爽快感を高める工夫がされています。

本作が何より高い支持を得ているのは、本作がわずか12メガの容量の中で、あらゆるアイデアを実現し、プレイヤーを楽しませてくれたから。
プレイアブルキャラクターは5人。本作の1月前にリリースされた「天地を喰らうⅡ 赤壁の戦い」も5人でしたが、そちらはアーケード。当時少ない容量だった家庭用での5人は、プレイヤーにとって本当に驚くべきものでした。
しかも本作は、わずか12メガの容量に収まっています。キャラクターが増えればそれだけグラフィックも必要になり、容量も増やす必要があります。しかし本作では、敵ボスキャラクターを主人公らのクローンとするというアイデアでこれを乗り越えました。それだけでなく、1キャラ毎の技数が少なくならないよう、限られたグラフィックを巧みに使いまわし、全く異なる技モーションに仕上げています。特にロード Jの技モーションをじっくり見ると、そのことがわかると思います。
またキャラクターを5人にし、ボスをそのうちの3人と設計すると、全ステージ数が4ステージになるのも、ほぼ必然だったと思われます。通常のベルトゲーの平均ステージ数が6ステージだったことから、これより少ないステージ数でプレイヤーを楽しませるには?と考えた結果、工夫の凝らされたステージギミックが導入されたようにも思われます。

制約を逆手に取って、全てアイデアで乗り越え、その上でプレイヤーを納得させる作品を作り出す…本作は、開発陣の熱意とアイデアが詰まった、大傑作です。


タイトル ラッシング・ビート乱 複製都市
開発会社 ジャレコ
販売会社 ジャレコ
初出 スーパーファミコン、1992年
システム / (5ボタン)
キャラクター数 5キャラクター▸2人
ステージ数 4ステージ