ラッシング・ビート(1992年 / ジャレコ)

タイトル ラッシング・ビート
開発会社 ジャレコ
販売会社 ジャレコ
初出 スーパーファミコン、1992年
システム / (4ボタン)
キャラクター数 2キャラクター▸2プレイヤー
ステージ数 6ステージ
ページを分割しています。

概要

「ラッシング・ビート」は、ジャレコより1991年にスーパーファミコン向けに発売された作品です。
スーパーファミコン初のベルトゲー同時2人プレイを実現した一作です(なお、同日に、同じく初のベルトゲー同時2人プレイを実現した「ラストファイターツイン」が発売されました)。受けたダメージが増えると、一定時間、投げが強化される「怒りモード」は、シリーズ3作全てに採用されています。

使用可能キャラクター

ストーリー / キャラクター

ストーリー

架空の街、ネオ・シスコ。ここ数年、「ジーカス」と呼ばれる新型覚せい剤が広まり、街は荒廃しはじめる。

警察すらジーカス密売組織の足取りがつかめない中、駆け出しルポライターのマリア・ノートンは、ジーカス取引現場を録画することに成功する。ジーカス密売組織「ジョウカル」はマリアを誘拐するが、マリアの機転により、すでに録画テープは、警察官であり兄であるリック・ノートンに渡った後だった。

ジョウカルから、マリアを人質にテープの受け渡しを要求されたリックは、単身でその救出に向かおうとする。
そこに現れる、上司のダグラス・ビルド。ビルドもまた、2人を見守ってきた存在として、警察を辞職する覚悟で、共にジョウカルを追跡することを誓う。

2人の追跡劇は遠く離れた南米にまで及び、ついにジーカスの研究所を突き止める。そこで待ち受けていたのは、謎の格闘家「キンターク」だった。激戦の末、キンタークは敗れる。キンタークを問い詰めるリックを、「この人は、私たちのお父さんなの!」と現れるマリア。リックとビルドが驚く中、キンタークは、リックの成長を認めながらも、自分のように闇の世界に魅入られるな、と忠告して息を引き取る。ようやく闇から解放されたキンタークを弔う3人を、朝日が照らしはじめ、幕を閉じる。

キャラクター

リック・ノートン
ネオ・シスコ州の刑事で、誘拐されたマリア・ノートンの兄。26歳の、武道の達人。マリアが撮影した、ジーカス取引現場のビデオテープを預っていたために、ジョウカル一味からこれを渡すよう脅迫される。マリアを救うため、免職を覚悟の上で追跡を開始する。
▸リック・ノートンのコマンド技はこちら
ダグラス・ビルド
ネオ・シスコ州の巡査部長で、元プロレスラーの44歳の男性。リックの先輩であると同時に、リックとマリアを幼い頃から見守ってきた、父親のような存在である。リックと共に追跡を開始する。
▸ダグラス・ビルドのコマンド技はこちら
マリア・ノートン
駆け出しのルポライター。覚せい剤密売組織がジョウカルであることを突き止め、これを録画していたことがジョウカルに知られたために、ジョウカルに誘拐される。しかし、録画テープは兄リックにすでに渡していたことから無事だった。
キンターク
格闘家。本作の最終ボス。ジーカスの能力に溺れ、世界を闇に陥れるためにジョウカルを結成した。(そのせいか、本作のザコ敵は格闘家のような風貌の人間が多い)実は、リックとマリアの父親であることが、エンディングで明らかになる。

ステージ

全6ステージが用意されています。
  • stage1 暁のストリート Police Station
  • stage2 スタジアムの死闘 City Stadium
  • stage3 夕闇の摩天楼  Skyscraper
  • 北米の3ステージ。ジョウカルの手下から指示を受けて一夜が明け、2人は早朝の警察署を出る。署外のストリートには、早くも敵の包囲網が…これをかいくぐりながらスタジアムに向かう。その先のビル屋上での死闘を経て、2人は脱出しようとする敵のヘリに飛び乗る。

  • stage4 暗黒の南米大陸  Southern Mt.
  • stage5 戦慄の港  Southern Port
  • stage6 決戦!ジョウカル研究所  Joecal's Lab
  • 南米の3ステージ。ヘリは南米に向かい、墜落。暗闇のジャングル、港を抜け、ついに研究所に到着。 夜明け前の研究所の屋上で待っていたのは、一人の格闘家だった...。

    TIPS

    このゲームの作法

    作法を知らないと即やられてしまう本作。その独特の作法について説明しよう!
  • ダッシュ攻撃でダウンさせる▸つかむ、が基本
    ダッシュ攻撃(or押しながら)で相手をダウンさせた後、その相手に接触すると、相手をつかみます。まずはこの連携を覚えましょう!
  • 怒り投げを使わない
    怒りモード中は特定の投げ技がパワーアップ。しかし投げモーションが長く、あまり有効ではありません。むしろ無敵になることを利用して、接近手段として使いましょう。
  • 隠し要素

    ワープルーム

    ステージ4「暗黒の南米大陸」のシーン2にある最初の入り口に、スコアが30人の状態で入ると、ワープルームに行ける。

    時間内にワープルームの像を壊すには、投げが有効。なぜかつかみ解除が早いので、つかんですぐにコマンドを入れよう。

    キャラクターの名前表示を変更する

    ハイスコアを出してゲームオーバーになると、ネームエントリー画面になる。ここで「CHRCONF」と入力すると、キャラクターの名前を変更できる画面になる。変更後にゲームを再び始めると、キャラクターの名前が変わるぞ。迷キャラクターの多い本作、できるだけ変な名前をつけてあげよう。

    作品解説

    オススメ度:
    1992年3月リリースで、一般に評価の低い一作です。グラフィックパターンの乏しさ(いつの間にか攻撃されている、いつの間にか投げられている)、敵攻撃のダメージの高さなどが理不尽に感じられます。高い評価にはつながりませんでした。

    しかしながら、本作にはいくつもの独創的なシステムが盛り込まれています。
    ・まずはおなじみ「怒りモード」。一定量ダメージを受けると「怒りモード」になり、一定時間、通常攻撃と投げがパワーアップ。一発逆転の可能性を含んだ要素で、シリーズ3作中、本作の怒りモードが最も存在意義があるように思います。
    ・そして、あまり知られていないシステムですが、「一定の技で転ばせた敵に接触すると、その敵をつかめる」という点。説明書に一切の記載がないのですが、個人的には、プロレス好きで知られる開発陣が、こっそりと狙って組み込んだ名プログラムだと思っています。ビルドの「ラリアットで転倒させる」→「倒れた相手をつかんで引きずり立たせる」→「パワーボム」なんてまんま三沢光春やん…!引き起こすモーションが用意されれば、十分に成り立つシステムではないかと思います。
    ・そして何より、本作は、SFCで初めて2人同時プレイを実現してくれました。(同日に発売された「ザ・グレイトバトルⅡ ラストファイターツイン」(バンプレスト)も、同じく2人同時プレイを実現しています)。等身大キャラクターの登場するSFCベルトゲーで、最初に2人同時プレイを実現した、というのが本作最大の魅力。SFCですでにリリースされていた「ファイナルファイト」は、2人で遊べない、というのがとても悔やまれる点でした。ゲームバランスはともかく、みんなでワイワイと遊ぶ作品としては大きな魅力があった一作でした。

    粗削りながら開発陣の強い熱意が伺える一作。なお続編「ラッシング・ビート乱 複製都市」では、本作のわずか9か月後のリリースながら、高い表現力を見せつけてくれています。