ガーディアンズ・オブ・ザ・フッド(1992年 / アタリ)


概要

「ガーディアンズ・オブ・ザ・フッド」は、1992年にアタリからアーケード向けにリリースされた、ベルトスクロールアクションゲームです。実写取り込みによるグラフィックが特徴的です。最初は4人のキャラクターから選ぶことができ、ギャングを崩壊させるごとに、そのギャングのリーダーが仲間になります。

見どころ

  • 下品さがシュール
    背景に売春婦やコートを脱いで裸を見せつける男が登場。しかも「Hooker:○○(人名)」としてクレジットされています(Hooker=売春婦)。いいのか!?
  • うなだれるCPU
    ジムステージでは、プレイヤー2が乱入すると対戦に。乱入ボタンを押すと「プレイヤー2が参加しました」的なメッセージとともに、なぜかCPUがガクッと凹みます。萌えます。
  • 投げられる人
    アイテム以外に、ホームレスや上のヘンタイ男を拾って投げることができます。売春婦は、攻撃すると反撃されます。
  • 超展開
    たびたび登場するMr.Bigは、サングラスを掛けたマイケル・ジャクソンのよう。男性かと思いきや、最終面で服を脱ぎ去ると、中からボンテージ姿の女性が登場!なにそれ!
  • 基本操作

    名称 コマンド 備考
    移動 で後方宙返り
    ジャンプ or or
    弱P / 弱K / 強P / 強K / ガード / / / /
    必殺技 +ボタン を消費 / 弱,強で飛ぶ速さが変化

    キャラクター

    ストーリー

    謎の人物「Mr.Big」率いる3つのギャング団が、センターシティの一区域を支配します。 これに対し、センターシティ・ジムでトレーニングに励む4人の青年―コナー、チーフ、ジェイビア、タニアが立ち上がります。
    ギャング団「ドレッズ」「シェーバー」「ドラゴンズ」を崩壊させるごとに、それぞれのボス「ジェイジェイ」「ボリス」「クワン」を味方にし、ついにMr.Bigの下へ。激闘の末倒した7人は、区域住民から称賛されて幕を閉じます。

    タイトルの意味

    本作のタイトルは”Guardians of the 'Hood”。'Hoodというのは、Neighborhood(地域)の略語です。本作の主人公4人が、地域の守護神であることを意味するタイトルのようです。

    TIPS

    ピットファイター

    本作に先駆け、アタリは1990年に「ピットファイター」という作品をリリースしていました。モーションアクターの実写グラフィックを取り込んだ、ベルトフロア型対戦格闘ゲームで、アメリカでは大ヒットし、いくつもの家庭用ゲーム機に移植されました。ストリートファイターⅡやバーチャファイターが人々に新しい体験を提示したのと同様に、それはまだ、だれも見たことのない映像だったのでしょう。
    その流れを受けて作られたのが本作です。当初は「ピットファイターⅡ」の名称で、やはりベースはベルトフロア型の対戦格闘、そしてキャラクターはピットファイターの主人公3人+コナー、チーフ、タニアの3人の新キャラクター、という設定でした。何と本作の最終ボス「Mr.Big」は、ステージ1のボス「Helga」として登場する予定でした!
    ジェネシス(欧米版メガドライブ)向けに75%まで開発が進行していたようですが、どのような経緯で本作に変更されたのかは不明です。
    この「ピットファイターⅡ」の情報は、アメリカのゲーム雑誌であるEGM誌に掲載されていたもので、「pit fighter2 egm」と検索すると、今でもその時の画像を拝むことができます(むしろ、今だからこそ見れるのかも…!?)。タニアの髪型が今と違っているのもチェックです。

    作品解説


    ガーディアンズ・オブ・ザ・フッド
    オススメ度:
    1992年の作品で、実在するモーションアクターの美麗なアクションを取り込んだ実写取り込みグラフィックが目を引く一作です。特に、コナーのモーションは非常に美しく、映画俳優ジャン・クロード・ヴァン・ダム氏の柔軟なアクションシーンを思い起こさせます。
    技数も群を抜いており、フライヤーによれば、1キャラクターにつき35個の技が用意されているそうです。のみならずプレイアブルキャラクターは7人に上ることから、かなり力を入れていたことが伺われます。
    しかしながら最大の難点は、異様に難易度の高いシステム設計。CPUの思考ルーチンが厳しく、攻撃を出すとギリギリ退いてこちらの攻撃を避けます。ヒット直後に相手に無敵時間が生じて、続く攻撃をヒットさせられなかったり、攻撃をヒットさせてもこちらが不利フレームとなる技があるなど、少し不可解なシステムになっています。
    また、技コマンドがよく分からないのもデメリット。開発陣としては、ガチャガチャやればいろいろな技が出る、という方向に持っていこうとしていたのかもしれませんが、本作では逆に意図しない使い勝手の悪い技が出る傾向にあり、一層遊びにくい設計になっているように感じられます。
    拡大縮小機能を使って奥行きを表現していたり、通行人を殴ると殴り返されるなどの設計は大変ユニーク。珍しい、実写取り込みのベルトゲーという点を楽しんでみてはいかがでしょうか。