オススメ度:
本作は、コナミがアーケード向けベルトゲーとして最初に開発した作品です。知名度は低いものの、個人的には傑作だと思っている作品です。1レバー3ボタン制、背面攻撃ありと、本作の2年前に発売された「ダブルドラゴン」(テクノスジャパン、1987年)を意識しながらも、オリジナリティの高いゲームデザイン設計がなされています。
緊迫感
本作の特徴は、ピーキー(極端)に設定されたゲームバランスにあります。敵が異常に強く、主人公は、丸腰(素手)では効率的にダメージを与えられません。しかし武器を手にした瞬間、優劣が入れ替わります。武器はダメージが高く、延々と使い続けられますが、敵から1発でも攻撃を受けると失ってしまいます。敵から1発も喰らわずに、武器で攻撃し続けることがセオリーになります。この極端さが、他の作品にはなかなか見られない「緊迫感」を生み出しています。
暴力性
そしてもう一つの魅力が、「暴力性」。ピストルを手に入れたときは、数あるベルトゲーの中でも高いカタルシスを得られることでしょう。銃弾を受けてもなお近づく敵に「パン、パン」と乾いた音の銃声。これで
倒れた相手に、立ったままさらに無慈悲に1発、2発。そして動かなくなる相手。映画で悪党がよくやるシーンですが、これを本作でやるのは主人公(しかも警察官)。ここまで「暴力性」の表現に成功した作品は、ほとんどないのでは、と思います。
80年代のベルトゲーらしく覚えゲーの側面が強いですが、覚えればある程度確実に進められる設計になっています。もっとも、完全攻略するにはステージ4などの運要素の絡む部分もありますが、それも数か所にとどめられており、「緊迫感」を維持するには必要な要素になっています。
ピストルが登場するのはステージ2から。クリアできなくてもいい、ピストルであの興奮を味わいたい…そんな危険な動機でコインを投入してしまう一作。そう、この街では、命が100あっても足りません。何度遊んでもヒリつく感覚を味わえる「緊迫感」と、倒れて反撃できない人間に銃を向ける「暴力性」こそが、麻薬のような魅力であるように思います。