「キャディラックス 恐竜新世紀」は、カプコンから1993年にアーケード向けにリリースされた作品です。アメリカのコミックを原作とする作品で、恐竜密猟者を相手に、4人の青年が立ち上がります。
Jack Tenrec
自然を愛する熱き男。キャディラックスのリーダーであり、旧式の車「キャディラック」を心底気に入っている。
原作では、「The Garage」と呼ばれる基地に住み、車を修理することで生活費を稼いでいる。天才メカニックで、ガソリンが手に入らないこの時代に、恐竜のフンで自動車が走るように改造できる腕を持っている。それだけでなく、恐竜と意思疎通できるテレパシー能力を持つ。本人は荒っぽい性格でヒーロー扱いされることを嫌うものの、その人望は厚く、政治家の数人からは自分の政治生命を脅かす存在として危険視されている。後述する「ハンナ・ダンディー」は、公私に渡るジャックのガールフレンド。
「キャディラック」
ジャックの愛車。ゼネラルモータースが現実に販売している高級車で、本ゲームに登場するモデルは、1948年型?ウィキペディアによれば、自動車業界初の曲面ガラス(フロントガラスが曲面になっている)を含めた先進的なデザインが大きな反響を呼んだのだそう。
Hannah Dundee
冷静さを併せ持つ、女性の天才科学者。男性にも劣らない戦闘能力と、鉄のように固い意志を持っている。武器の使い手であり、他キャラクターよりも振りが速かったり、攻撃回数が増えるなど強化される。また三角跳びが可能。
原作では、科学者であると同時に「Wassoon」(旧ワシントンD.C.に残った都市)の大使。「City in the Sea」との取引条約を締結するために「Wassoon」からやってきた。以来、ジャックと行動を共にする。
Mustapha Cairo
熟練したエンジニアの男性で、ジャックの友人。ユーモアのセンスがあり、ヒョウのように素早い。
原作では「City in the Sea」のインフラの建設・維持の責任者を務めるエンジニア。「ウィルヘルミナ・シャーンホースト」の悪事を見抜くが目を付けられ、彼女が「City in the Sea」の議員になった後に投獄されそうになる。このとき投獄されたジャックを救出し、別の女性議員「ロレイン・ダールグレン」の支援を得て、レジスタンスを率いてシャーンホースト政治体制の転覆を試みる。
「ウィルヘルミナ・シャーンホースト」 / Wilhelmina Scharnhorst
大柄な「City in the Sea」の女性議員。地下貯蔵庫で働く人々「モールズ」を支配し、その貯蔵庫に、大洪水以前の高度な技術品を多数保存している。古典技術を使いこなすジャックらと対立する。「City in the Sea」の水供給権限を掌握しようとし、ムスタファに阻止されそうになるが、ムスタファが停電を引き起こしてしまったため、これを利用して議員となってしまう。
「ロレイン・ダールグレン」 / Lorraine Dahlgren
細身の「City in the Sea」の女性議員。議会の中で唯一シャーンホーストに反対の立場を採る人物で、それゆえジャックらから信頼を寄せられる。実は過去にジャックと関係があったようで、ハンナとは摩擦があった。表向きはシャーンホーストに従いつつも、ひっそりとムスタファやジャックらを支援する。
Mess O'bradovich
大柄の男性で普段は紳士的だが、いったん怒ると手がつけられない。全キャラクターの中で最も攻撃力が高い。「フライングラリアット」が得意技。
原作では、実はほとんど登場していないキャラクターで、上記3人ともなじみが薄い。妻がいたが、悪人にその妻を殺されている。
オススメ度:





1993年の作品で、
カプコン発のアーケード向けベルトゲーとしては7作目です。特に目新しいシステムはありませんが、ヒット感覚の良さやダメージ値などはプレイヤーが爽快感を感じるよう設計されており、またコマンド技のバランスが良いなど、非常に基本に忠実といえる作りになっています。敵攻撃のダメージは高めであるものの、カプコン系の作品では珍しく、初心者にも敷居の低い作品に仕上げられています。
原作はアメリカのコミック「XENOZOIC TALES」で、単なる恐竜密猟者の取物劇にとどまらず、大災害後の崩壊した都市での政治体制をも含めたストーリー展開、そして著者マーク・シュルツ氏の緻密なタッチが魅力でした。今そのカバーアートを見ても、グイグイと引き込まれるものがあります。
ジャックもハンナも、知性と勇敢さを併せ持つ、本来とても魅力的なキャラクター。こういったキャラクター性や世界観が、本作では充分に表現されなかったのが残念!(本作は一般的に、アクション中の爆弾で肉塊が散らばることから「グロゲー」、デモ画面のグラフィック・セリフから「バカゲー」と認識されることが多いように思います。)
なぜ都市が海面に沈んでいるのか、なぜ地底に飛行機や自動車が置かれているのか、何よりもなぜジャック達は戦っているのか…そういった理由が示されていたならば、より評価の高い作品となったかもしれません。アクション部分の出来が良いだけに、単にグロ・バカゲーとして記憶されるには惜しい一作です。